十二指腸潰瘍 DUODENAL-ULCER

十二指腸潰瘍について

十二指腸潰瘍の症状

腹痛

腹痛は十二指腸潰瘍でよく見られる症状の1つですが、痛みの感じ方には個人差があります。
しくしくとうずくような痛みや、焼けつくような痛み、鈍く重い痛みなどがあり、特に右上腹部に痛みを感じることが多いです。空腹時や夜間に強くなる傾向があるのも特徴です。

消化管の出血

潰瘍が進行すると、患部から出血を起こすことがあります。その結果、血便や下血が見られるほか、出血量が多い場合には貧血の症状が現れることもあります。

穿孔

潰瘍が重症化すると、十二指腸の壁に穴が開く「穿孔」が起こることがあります。穿孔が発生すると重篤な状態に進行する恐れがあり、迅速な治療が必要です。

その他の症状

胸焼けやげっぷ、吐き気、食欲の低下といった消化器症状が現れることがあります。

十二指腸潰瘍の原因

ピロリ菌の感染

ピロリ菌が十二指腸に感染すると、炎症が慢性的に続き、潰瘍の発症に繋がることがあります。
ピロリ菌は胃の中に定着できる細菌で、多くは幼少期に経口感染すると考えられています。

非ステロイド性消炎鎮痛剤

非ステロイド性消炎鎮痛剤（NSAIDs）の使用は、ピロリ菌感染に次いで十二指腸潰瘍の原因として多く見られます。
風邪などで解熱鎮痛剤を服用した際に腹痛などの症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、医師の診察を受けましょう。

十二指腸潰瘍の検査

胃カメラ検査

胃カメラ検査では、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接確認できるため、潰瘍の深さや広がり、周囲の状態を詳細に評価することが可能です。
検査中に異常が見つかった場合は、その場で組織を採取して病理検査に回すことで、確定診断を下せます。また、出血が確認された場合には、内視鏡による止血処置も行えます。さらに、ピロリ菌の有無を調べることもできるため、他の消化器疾患との鑑別を含めた総合的な診断に役立ちます。

ピロリ菌検査

当院では、胃カメラ検査の際に粘膜の組織を採取し、ピロリ菌への感染の有無を調べることが可能です。
その他、血液中の抗体を調べる血液検査など、様々な方法でピロリ菌感染の有無を確認できます。

十二指腸潰瘍の治療

薬物療法

胃酸分泌抑制剤を約6週間服用することで、80%以上の確率で症状の改善が見られます。
ただし、十二指腸潰瘍は再発しやすいため、少なくとも1年間は継続的に服用を続け、定期的に検査を受けることが推奨されます。
また、ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療が効果的です。除菌治療では、2種類の抗生物質と胃酸分泌抑制剤を1週間服用します。

内視鏡的止血術

胃カメラ検査で出血が確認された際には、必要に応じてその場で内視鏡を用いた止血処置を行うことができます。
十二指腸潰瘍による出血でも、多くの場合は開腹手術を行わずに、内視鏡による処置で止血が可能です。